樹脂設計の基本 肉厚と抜き勾配
樹脂部品を設計していくにあたり、基本となることはたくさんあります。
今回はその中でも2点取り上げます。
これから設計業務に関わる方はしっかり記憶しておきましょう。
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均等な肉厚にする
設計業務に関わっていると様々な形状の部品を設計することになるでしょう。設計するにあたり心がけて欲しい事が、出来る限り肉厚を均一にすることです。
肉厚がまちまちだと、材料の充填が不十分となる「ショートショット」が発生したり、形状にソリが発生したりします。成型段階でそのような不具合を起こさないよう、設計段階で配慮しておくべきです。
肉厚を均一にしても、分厚くし過ぎると材料の収縮により表面の見栄えに問題が生じます。適切な肉厚は部品によって 様々ですので一概に言えませんが、現行品などを良く確認して実績ある範囲の肉厚にすることが確実です。 流動解析で検証してみる手段もあるでしょう。
抜き勾配をつける
抜き勾配とは、金型から成型品を取り出しやすくするための勾配のことです。
金型と成型品には摩擦が生じますので、抜き勾配が無いと成型品が金型から抜けなくなってしまう可能性があります。形状の深さや表面加工によって必要な抜き勾配は変わりますので、メーカーと十分な打ち合わせを実施してください。
機能部品では、抜き勾配をつけることにより性能が変わったり嵌合具合が変わったりしてきますので、 設計段階から抜き勾配も考慮にいれて検討する必要があります。
設計をしていると、例えばガタを無くして品位を良くしたいなど、どうしても勾配付けたくない場所もでてくるでしょう。 勾配0°でも不可能という訳ではないので、早めに金型を作製するメーカーと相談しましょう。 また図面にもしっかり記載することを忘れないでください。図面に記載がないと、量産段階になって勾配が異なっていても、クレームを言えなくなる場合があります。