樹脂設計技術者の日々

樹脂や金属部品の設計について書いていきます。

PP樹脂

Gothamware cups

ポリプロピレン樹脂。

polyepropyleneの綴りから、そのままPPと呼ばれています。

ABSと並んで非常に広い範囲で使用されています。比重が約0.9と軽く、水に浮くことからトイレタンクの浮きなどにも使用されています。

単価が安いため100均ショップなどで売られている簡単形状の樹脂製品にもよく見られます。工業製品でも、コストダウンのために他の樹脂からPP化が行われたりします。

機械的強度や耐熱性なども優れていることから、食品の保存コンテナなどにもお馴染みの素材です。さらにABSよりも耐薬品性があるため、洗剤などが使用される環境にも使用でき、非常に有用な樹脂です。

短所としては接着ができないため、張り合わせで作る試作などには向きません。その場合はABSを使用しましょう。

長所

  • 機械的強度
  • 耐薬品性
  • 耐熱性

短所

  • 接着できない(難しい)
  • 耐候性
  • 成型収縮が大きい

ABS樹脂

PC

アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂。

頭文字をとってABSと呼ばれます。

自動車や家電など至るところに使用されており、非常に汎用性の高い樹脂材料です。

耐熱性、強度、加工性など様々な長所を持つうえ、外観も美しいために意匠面に使用することも可能。例えばノートパソコンやテレビなどの外装にも使用されています。さらにメッキ加工が施しやすいため、高級感を出したい製品の外観にも適しています。

耐溶剤性が弱いため、強い薬品などが使用される環境では使用を控えた方が良いでしょう。

接着などもできるため、試作で一点物を作りたい場合でも加工と接着を組み合わせることで、あらゆる形状の作製が可能です。

長所

  • 表面加工が容易(メッキ、塗装)
  • 加工性がよい(射出成型・真空成型・押し出し成型など)
  • 耐熱性、耐寒

短所

  • 耐候性に弱い。
  • 可燃性

熱硬化性樹脂

eggs

熱硬化性樹脂樹脂とは、加熱すると硬化し冷却しても元に戻らない樹脂の事です。

熱可塑性樹脂の例と同じように食材で例えると、例えば卵が該当します。卵は熱を加えると固まりますが、冷やしても元の状態に戻ることはありません。熱硬化性樹脂はこれと同じ特性を持っています。

熱可塑性樹脂に比べて耐熱性や機械的強度に優れています。その特徴から耐熱性や絶縁性が求められる発電関連の製品、強度と軽さが求められるスポーツ用品等に使用されています。

代表的なものにエポキシ樹脂やユリア樹脂などがあります。

熱可塑性樹脂

Cheese

熱可塑性樹脂とは、加熱すると柔くなり、逆に冷却すると固まる樹脂の事です。ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等が該当します。

イメージが湧きやすいように、身近なもので例を出すと、例えば食材のチーズ。熱を加えると溶けて柔くなり、冷えてくると固まります。これが熱可塑性の特性です。

上記の特性から、生産コストが安く再利用もできますので、大量生産品によく使用されます。

このようにメリットも多いですが、熱硬化性樹脂と比較すると硬度や耐溶剤性、耐熱性に劣ります。

熱可塑性樹脂はさらに分子構造によって結晶性と非晶性に分類でき、結晶性樹脂は分子鎖が規則正しく配列した結晶を持ち、非晶性は結晶を持ちません。

結晶性樹脂は機械的強度が高く耐薬品性に優れます。非晶性樹脂は透明になりやすい等の長所を持ち、異なる特徴があります。